イ行の韻律
soft_machine
むかしは書けなかった恋の詞も
近頃はつかみ捕り
青い生簀に溢れんばかり
窒息しそうなAメロがあり
洒落たつもりの転調を効かせた
ブリッジの案だって豊富
不変のサビは
五年前に河原で拾った
それなのに手元に楽器がない
あっても弾けない
だったら精々
風呂に潜水しディースカウ気どり
むつかしい状況はずっと変わらない
眠りと悪夢は仲よく指をからませ
擦過傷の治りは遅くなる一方
唯一変わらないのが
爪が伸びる距離
憶えているのは、イ行の韻律
こんな唄でいいなら
今からでもきみに届ける