それぞれの戦い(七)
朧月夜

エミル・アザルに近づいていった数名の兵士は、
ウーラ・フラグによって、命を落とした。焼け死んだのである。
ウーラ・フラグの炎はさらに広がる。
アースランテ軍の兵士はじりじりと後退する。

「どうですか? 魔導士というのも捨てたものではないでしょう?」
というのは。エミルのセリフである。エリスは歯噛みする。
「この剣では間合いのうちに入ることができない。
 誰か、石弓を持っている者はいないか?!」エリスは叫ぶ。
 
その声は虚しかった。ヨーラ・テルの雷撃によって、
幾人もの兵士が倒されてゆく。エリス・ガザンデはやがて、
独りになった。そして、炎に対する耐性を自らに付与する。

「やあーーーーっ」エリス・ガザンデが叫ぶ、しかし、
長剣の間合いの長さよりも、この場合は短剣の速さのほうが方が有利であった。
エミルはエリス・ガザンデの首すじを刺す。ここに、最強の司令官の一人が逝った。


自由詩 それぞれの戦い(七) Copyright 朧月夜 2022-05-08 16:52:43
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クールラントの詩