それは空気よりきっと軽い
あらい

理科室の小さな変化を見逃さないね

境目には冬虫夏草とあいまって水没する勿忘草
影も形もない退屈な装飾は 底に結晶として花を植える
汚れた手で掬った川の水で薄眼て溶いた
冷ややかで真っ青になる
泡沫に
変えずに記憶にめり込ませ
半透明の終日を胸の内側に潤して

ベージュは噛み砕かれた後に唇から逃げ出した愛のことばを
メモ帳には紫の化獣の皮を剥いで置いた

『あたたかいひのことでした』

ステージの影たちに姉弟愛の脱脂綿を当てる
ほうれい線の延長上に夏祭りと真正面から
小春日和の読書のように塒を撒く

どろどろにあって不運な達磨を撫でましょうか
曲がりくねった道に例文を殺処分するように
物理的異邦人と怪奇現象の回転数を、枯山水に見立てる
明後日のアクセス権を懐中時計に潜め
一体感で括る、二度寝の被害者はもう不時着したらしい

それでどこから来てどこへ向かうの、
ちいさな隣県とする
あなたたちはちゃちなmeviusとともに緩んでいく。


自由詩 それは空気よりきっと軽い Copyright あらい 2022-04-29 11:46:53
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