僕らが消えてしまったころに
霜天

その名残はもう届かない位置で
懸命に手を振りながら明日に挟まれていく
折り重なり、押し寄せる毎日の隙間
風化する
足跡はもうどこにも残っていないから
辿ることも
手を伸ばすこと、も


僕らが消えてしまったころ、そのころに
その名前は歌のような刻み付けられ方で
どこかのほんの裏側、潜り込んだ小道に
忘れられたように置かれていたり、とか
どの程度の風向きで残されているだろう



白い、白い雲
消える
消えるように流れていく
繋がることも、触れることも
もう遠くなる足跡のほんの少しの可能性
風吹くたびに
千切れる人たち
呑み込んだものを、また吐き出すようにして
つかんでいる安息
その先に
その先へ



遠い、遠い
いつかの未来の誰かが
気付くような声を響かせる
刻み付けるように足跡を
深く残していく手のひら、繋ぎ方
僕らが消えてしまったころに
残すように刻み込んだもの、手のひら


僕らが消えてしまったころに
僕らが消えてしまったことを


自由詩 僕らが消えてしまったころに Copyright 霜天 2005-05-02 02:00:04
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