アジェスの森の戦い(十)
朧月夜

ラゴスとアースランテの初戦は、一昼夜にも及んだ。
もちろん、ワイジェの丘の戦いを加えれば、二戦目である。
兵士たちは疲れ切っていた。というのは、
双方の魔導士たちが召喚獣を大量に召喚していたからだ。

交代で休む、といった暇(=いとま)はなかった。
文字通り、彼らは不眠不休で戦ったのである。
戦況が一段落したのは、アジェスの森に結界が張れなくなった時だ。
大量の魔法が使われたことで、魔法素子の濃度が薄くなったのである。

「ここは一旦兵を引きましょう」ラゴスの聖騎士である、
マロス・ラガンデは、黒色槍兵団の団長ユディアス・ガーランドに言った。
「そうだな。貴官が言うことももっともだと思う」

「しかし、カイザー・ネルとシュランク・エルベには、
 別の考えがあるようだ。ラゴスは何かを待っているのではないか?」
双方の犠牲者の数、数千人。何らかの契機が必要だった。


自由詩 アジェスの森の戦い(十) Copyright 朧月夜 2022-04-23 12:07:41
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クールラントの詩