KID A
ひだかたけし

憂鬱な地平線を目指し
私たちは恐怖から手を繋ぐ
此処には居ない誰かのために
遠く響き渡る砲弾の陰で
如何に完全に消えるかを考え
冷え冷えと目醒めていく

居着く場所は何処にも無い
ただお気楽なメロディが凋落して
居着く場所は何処にも無い
ただニュースキャスターの百面相が割れて

叫んで
裂けて
叫んで
朝を告げる鐘が鳴る
(新たに目覚める幼子の顔)
叫んで
裂けて
叫んで
朝を告げる鐘が鳴る
(新たに目覚める幼子の声)

満載された色とりどりの自由に
むせかえり溺れ肥満する私たち、
然るべき場所にすべてが収まるとき
再び憂鬱な地平線を目指し
恐怖から手を繋ぐ
此処には居ない誰かのために
遠く響き渡る砲弾の陰で
如何に完全に消えるかを考え
冷え冷えと目醒めて













自由詩 KID A Copyright ひだかたけし 2022-04-18 19:59:42
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