草臥
木屋 亞万
心が動かなくなってしまった
写真も言葉もどれも同じ
自分がわざわざ用意しなくても
検索すれば
いくらでもある
ひりついた心を癒してくれた詩を
読み返してももう何も感じない
手触りやにおいもない
ぼんやりとしていて
遠くに行ってしまったみたい
感受性を守りきれなかったよ
もう何も受け取れない
空き容量がないのか
アンテナが壊れたのか
春に花が咲いていることにも
人と出会い別れることにも
慣れてしまった
何が好きなのか
何を求めているか
わからない
台所の使い古されたスポンジみたいに
くたくたに汚れてすり減っている
思っていたよりは長持ちした方か
枯れた枝には若葉は出ない
春に壊れるものもある