草臥
木屋 亞万

心が動かなくなってしまった
写真も言葉もどれも同じ
自分がわざわざ用意しなくても
検索すれば
いくらでもある

ひりついた心を癒してくれた詩を
読み返してももう何も感じない
手触りやにおいもない
ぼんやりとしていて
遠くに行ってしまったみたい

感受性を守りきれなかったよ
もう何も受け取れない
空き容量がないのか
アンテナが壊れたのか

春に花が咲いていることにも
人と出会い別れることにも
慣れてしまった
何が好きなのか
何を求めているか
わからない

台所の使い古されたスポンジみたいに
くたくたに汚れてすり減っている
思っていたよりは長持ちした方か
枯れた枝には若葉は出ない
春に壊れるものもある


自由詩 草臥 Copyright 木屋 亞万 2022-04-17 21:50:17
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