毒のつもり
竜門勇気


声すれど口は見えず
雪は積もり日が廻り
外道が軒に湧いて出る
外道は言った
踊れのよだれは甘かった
よう育ったと褒めいよ

舌先が踊る
形而下の植栽
河原でみた汚濁を
薬缶で煮る

便座で育った遅延で
薬缶で煮る
音のない炎で
ゆっくりと丹念に

呼ぶ声ばかり街角に響き
人影を探してまた眠る
くたびれ果てた人影が
また一つねぐらに帰るよ
こんなにくたびれた、ああ
このようにくたぶれた
誰に弁解するのか
ああ、こんなに無茶苦茶では
わからない、なにもかも、無茶苦茶で
こんなにも無茶苦茶では、ああ
ドアも開かないし、ああ
ああ、こんなに無茶苦茶になるなんて!

便器に残った清浄な水に
ゆっくりと汚染が進む
真っ赤な誤解と嘘は
少したって大きな音をたてる

歴史の教科書でつくった
紙ヒコーキがどこまでいって
どこで落ちるのか
いつだったか賭けしてたっけ
あれもいつか
歴史の1ページになる
”二人のニンゲンが
始まりだったんだ実は”
毒のつもりで擬態してる
柔らかな芋虫が食う
匂い立つ季節が不可能な葉っぱが
壊れた機械みたいで
腹が減って仕方がない


自由詩 毒のつもり Copyright 竜門勇気 2022-04-17 14:50:09
notebook Home 戻る