たましいと歴史
ひだかたけし
消えていくんだ
消えていくんだ
この壮麗な世界を
この残酷な世界を
後にして
荒涼とした廃墟へ
絶対のゼロへ
消えていくんだ
消えていくんだ
屈辱的なこの認識を受け入れ
私たちはこの世界の一員
ひとり月へ旅立ってはいけないよ
ひとり永遠を見入ってはいけないよ
歴史の脅迫観念が
たましいの深いあこがれを包囲し枯渇させる
歴史は恐怖から
死への死を超えたものへの
歴史は恐怖から
宇宙の破壊し創造する力への
(恐怖から沸き起こる欲望のバケモノ
恐怖と野望が他者をいともたやすく抹殺する)
消えていくんだ
消えていくんだ
この壮麗な世界を
この残酷な世界を
後にして
荒涼とした廃墟へ
絶対のゼロへ
消えていくんだ
消えていくんだ
垂直に切断せよ
この連綿たる時間を、歴史を
生のたましいを呼び起こし
垂直に、垂直に