朝
鷲田
爽快な朝を現実の朝が乗り越えて
朝に何時も追いかけられる
昔からの知り合いがとんでも無いことをしだすこともあれば
仕事の積み残しがかなり溜まっていたりすることもある
これから迎える将来に待つ困難さを改めて問いただすのも朝だし
何よりも朝を迎える、時の流れが
瞬間的にとてつもなく速い
その風速はまだ半分寝ている僕の脳にガツンと衝撃を食らわす
太陽と挨拶を交わさないと
僕等は目覚めることが出来ないのかも知れない
そう言えば、この部屋の窓は設置されている角度的に
朝日の光が差し込まない
僕等は忘れていないのだろう
縄文からの習性を
どれだけモノが発展しようが
僕等は地球の上にいるという現実を変えられない
時計がこの部屋に無いことも理由なのかも知れない
身体や心が何かを感じている瞬間というのを
客体的に図ることが出来ないと
感覚は欠けている情念を繊細に取り組んで
想像を拡大させるのかも知れない
イメージがイメージを想像して着色されるように
その色は青にも赤にも黒にも茶色にもなる
単色だけがこの世界を色づけていれば
僕等は喜びもしないし、悲しみもしない
ただ、そんな平坦な感情の起伏の基に僕等は生きていけるのだろうか
秒針を刻む音というのはそう言えば心地がいい
しかし、夢が存在するのが深夜では無く
何故、何時も朝なのだろう
夜の夢は忘却されて、目覚める時に残るのは余韻だけだけど
朝の夢は今日一日の始まりを告げる生活にリズムを残す
そしてその瞬間のリズムは今日一日のリズムを思いっきり壊す
深夜ならば夢が夢のままで居られるのに
朝に見る夢は現実の景色とそんなに大きく変わりはしない
つまり、静寂さが失われた日常の喧騒の空気のようで
そうであれば、さっさと朝を失い、昼に向かい、夜に鎮まる
そんな日常の方がまだマシだと
どうしようもない残像に問うてみた、この朝に