開戦前夜(六)
朧月夜

ラゴスの王アウゼル・ローガンテは、クールラントの代表である
祭祀クーラスと直接面会を行うことになった。
「よく来た、クールラントの祭祀クーラスよ。今では、
 御身がクールラントの実権を握っていると聞く」
 
「そんなことはございません。アウゼル様。
 わたしは若き国王の代理にすぎないのでございます。
 実権を握っているなどと、滅相もないことです……」
祭祀クーラスはここでも多弁で饒舌だった。

「御身に問いたいことがある。この戦争が終わったら、
 アースランテの国をどうするつもりか。
 まさか、このままで終わらせるわけには行くまい」
 
「それです。アースランテを二国間で分割統治するのです」
祭祀クーラスの答えに、アウゼル・ローガンテはわずかに眉をひそめた。
「そうか。よろしい。貴殿のお答え、しかと承ったと、国王にお伝え下され」


自由詩 開戦前夜(六) Copyright 朧月夜 2022-04-10 08:43:19
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クールラントの詩