昔の風景
番田 

今は昔とは趣を異なるものとしたものとは。たとえば祭りは、同じ祭であっても、下宿先の街では大人になってしまってからでは参加できないイベントである。僕は遠くから、その、音を聴いていただけだった夜。僕はそのバイトの帰りに、何を思ったか、公園に行ってみた。緑のボール受け用のネットのある、知らない子供の、知らない親といた夢でも見ているかのような公園の景色だった。僕はいつも持ち歩いていたソニーの携帯オーディオプレーヤーを、いつも、僕は持ち歩いていた。LEDのプレイリストの流れていた青緑色の光、そして、当時の僕が深刻なくらいに抱えていた腰痛の、強烈な痛みをよく覚えている。


バイトを辞めた僕は自転車をアパートの最寄り駅まで走らせた。しかし、冬の寒い日だった。今考えると、電車をあのときは使えばよかったと思っている。


散文(批評随筆小説等) 昔の風景 Copyright 番田  2022-04-08 01:13:43
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