どっかの一丁目にて
佐々宝砂

奪衣婆だつえばに手を振って
自分の手の指が
すっきり全部折れているのを
確認し

ゆったり歩きはじめれば
蛆這い回る
糞と血とはらわたの汚泥が
優しく足をなめる

ただいまあと
微笑む唇が焼け爛れる
約束の場所はここ

会いたかったなあ
会いたかったよお
五丁目あたりから声がする


自由詩 どっかの一丁目にて Copyright 佐々宝砂 2022-04-04 20:07:03
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