自由律俳句 2022.03.10(木)
田中恭平
目覚めぼうっとしては茶を啜る
全身で夜明けを浴びていた
陽のひかりの中に出てゆくコート着て
荒れた妻もしずかにスープ飲む
なぜ句作しているのかわからなくなる春の夕
嘘偽りなく食パンを買い忘れたよ、妻よ
皿洗いもだるくって横になっている、眼
夜空の御仏に手をふって明日もテキトウ生きる
にゅるにゅる生きていきたいなぁ 春風
午後五時明るくて渋滞するかえりみち
帰宅も小さな旅や春の夕暮れ
頭の中にスーパーのBGMが残っている
買い物して帰っても叱られるモヤモヤする
帰宅して煙草の本数が増えるとは
右手親指の劣化がはげしい
つまらなくなった世界に鳩が歩いていた
さびしいという感情さえ湧かなくなった
くすり服すチョコレートは残しておく
魂を洗うひまもなく眠り