小さな死Petite mort
草野大悟2
なにもシンゾウやフミオやその傀儡のことだけを目くじら立ててあしざまにいうことはないじゃあないか、彼らは私に心酔しているんだからね、と桜の枝を咥えた富士山がいうので、それはそうですが、いちおう決まりというものがありますんで、などとわかりもしない理屈をこねたのだった。
そのときおおきな欠伸が聞こえ、おおきな欠伸らしいものが聞こえ、たように感じたので、見上げるとまんまるな月がいて、もぐもぐ口をうごかしながら、よだれまでたらしていたので、よくよく天を見つめると、おそらくは南とおもわれる方角が割れたガラスのようにギザギザと欠落している。
なんにもないんだねあんたには、という紫式部の声がきこえて、おもわず身構えた僕に、なんにもない以上に臆病者なんだよこいつ、ドライアイスの声。あっ、これ、知ってる。
清少納言。そのうえ、野郎はどうしようもないスケベでドSで、何人ものヒトから恨まれ、中には殺してやると野郎の金玉をつかんで、カッターナイフで切ったヒトもいるんだ、野郎の股をつかんでみろ、まるで女だ。お前は誰だ? って、誰だっていいんだ、そんなことは重要な問題じゃないことにすでに気づいていたとおもっていたんだがな、どうやらオレの買いかぶりだったようだ。
そんな奴の相手してるとバカがうつるよ。
そうだよ、うつるよ。
おい、式部と少納言。オレはそれほどヤワにはできてないんだ、おれは、超人だからな。
それは充分理解してるけどねぇ、式部。ええ、理解してるけど、バカの伝搬力を軽く見ない方がいいとおもうよ。
二人に、もう一度だけいっておく、三度目はないからそのつもりできけ、:おれは超人だ::::::::::::::::::
どうころぶかとんとけんとうがつかない北岳の山頂で、麻丘めぐみが私の彼は左ききを歌っているころ僕たちは死にかけていた、そうさ、酸欠で。死ぬすんぜんだった。酸欠で。
死ぬ、死ぬ、シヌ、シヌシヌ、シヌシヌ、シヌシヌ、シヌシヌ、シヌシヌ、シヌシヌ、シヌシヌ、シヌシヌ、シヌシヌ、シヌシヌ、
シヌ、シヌシヌ、シヌシヌ、シヌシヌ、シヌ、シヌシヌ、シヌシヌ、シヌシヌ、シヌ、シヌシヌ、シヌシヌ、シヌシヌ、シヌ、シヌシヌ、シヌシヌ、シヌシヌ、シヌ、シヌシヌ、シヌシヌ、シヌシヌ、シヌ、シヌシヌ、シヌシヌ、シヌシヌ、;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@。
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@すんぜんだった。