共和国/悲しきRADIO
ちぇりこ。
Go Go Go and Goes On!糸居五郎もウルフマンジャックも、FENも知らない、活字の中の存在だ、山口のクソ田舎の、しみったれた居住区の夜、ぼくは頭から布団を被り、姉貴のお下がりの黒いラジカセと共に立国する、共和国だ、モノラルのオンボロで、FM用アンテナは途中でぶち折れてて、サァー、と言う雨のような音を吐き続けてる、CCRは唄う、雨を見たかい?ぼくは雨を聴いている、無機質なやつ、仕方ない、AM放送でbeatを探す蒸し暑い夜だ、電離層の、Dのヤツが眠りについた途端、海の向こうの半島や、大陸からの無線衝突!怒涛の外国語絨毯爆撃の間隙を縫うように、周波数を合わせてゆく、数字なんて知るもんか、beatを、頸動脈が沸騰するほどのbeatをもっと!ノイバウテンもハナタラシも、裸足で逃げ出す程の圧倒的なノイズの渦と、外国語無差別テロに、ぼくの共和国は陥落寸前、その時、黒く垂れ下がる暴風雨の雨雲のようなノイズの塊を、切り裂くようなギターリフが!………ァン・ヘイレンの…………アリー…ットミ……お届け………すが…皆さ……
DJの声が上から被さり、台無しだ
かくして、一夜の攻防で、ぼくの共和国はなし崩しに崩壊の一途を辿ることとなった
「Radio Radio
曲に喋りを被せるな
Radio Radio
この(虚しい)気持ちを分かってDJ」
〜佐野元春、悲しきRADIOより〜
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ほどなくして、ぶち折れたFM用アンテナに別の金属をあてがうと、FM放送が綺麗に受信出来るようになった、ぼくの共和国は、100年遅れの産業革命を迎えることとなる