昆虫の世紀
室町

空ははるか遠くまで
すみずみまで
青みがかった灰色の空と夜明けのまぶしい空に断ちわかれている
その空をぬりつぶすように地上からはまっ黒い噴煙があがり
ちょうどいま
中に浮かんだ三匹の蜂が地上の獲物めがけて右上から降下しようとしている
地上には中世のようなウクライナの灰青色の町が眠っている
人の姿はみえない
カマキリたちが斧のような脚を上げている
蜂がぶんぶん飛び交う
テレビのまえで
コックローチが肉皿の食べ残しをなめている
人の姿はみえない


自由詩 昆虫の世紀 Copyright 室町 2022-03-08 09:49:26
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