プーチンの肉まん
室町

涙目の小学生がやってきました。
「えっ! ロシアが戦争はじめたん? 日本は? ぼくどうなるん?」
「大丈夫」わたしは少年の両肩をしっかりとささえてやりました。
「日本は憲法9条で戦争放棄してるから戦争にならへんよ」
「へえ、そうなん。憲法9条を考えた人、天才やなあ」少年は明るく笑いました。
「そうや、憲法9条があったら何も怖いもんあらへんで」
と勇気づけてやって、
「ぼく、小遣いもってるやろ。少し貸してや」
小さな財布から500円ばかり巻き上げます。
「おっちゃん、それぼくの全財産やで。ドラゴンボールのマンガ買えへん」
「大丈夫、大丈夫、きみには憲法9条がついてるやないか」
「そんなん、いやや」
「いややいうてもな、ぼく、ほんなら憲法9条が悪いのか? 憲法のご利益否定すんのか?」
「ううん、戦争反対や」
また涙目になります。
「これ返してもええけどなあ、そしたら9条否定することになるさかい、戦争起こるで」
「いやや」
「どや、これで肉まんでも買うて、二人で食べへんか?」
「肉まん.....?」
「そうや、ほっかほかの肉まんやで」
「ふわふわで、ほっかほかの肉まんやね」
少年の表情がぱっと明るくなりました。
わたしと少年は手をとりあって仲良くコンビニへと向かうのでした。
公園のベンチに座っている人たちはただぼんやりとわたしたちを見ていました。
わたし?
関西弁のプーチンです。










自由詩 プーチンの肉まん Copyright 室町 2022-02-26 06:39:13
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