あの日々の思いで
静
「貴方の仕事は分からないから」
君はそっと珈琲の水面から顔をあげ
「貴方のやりたいようにしていいよ」
不安気に微笑って言ってくれた
いつだったか君は土砂降りの夜に
車の運転席で泣きながら告げてくれた
生きていく強さをその時から重ねて
何度も私を救ってくれたのだろう
君を支えなきゃいけないのは自分だと
抗うことしかできない私はずっと
弱さを見せられぬ弱さを抱えていて
影から支えてくれた存在に気づかず
こうして愚かにもまた喪うのだろう
自由詩
あの日々の思いで
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静
2022-02-26 01:04:43