走馬灯
あらい

しかし睡蓮の茎は節くれ立つ、さっきから
おとなしく 雨の中を彷徨宵あるいては、
暫くの水際を、悪夢を呼び起こすように

月の下では寂しさが荒れ地を撫でるように
優雅に結ばれ、
掛け時計がぼおぼおと、
刻一刻と進み、目的もなく骨身にしみる

妨げるような安眠を夜の公園に求めて
闇を纏うように冷気を吸い込んでいくと、
ほとぼりが褪めるように色を失くし

物欲しげな目つきで半月を浴びると
萎縮するように悴んだからだが、
誰のものかわからなくなる。

追跡を諦めた成れの果てが、吠え契り、
剥離する前に影というケダモノの尾を掴んで、
帰路につくことにする

偲び夜、慈愛に満ちた死が光あふれる地へ、
最期を遂げるように歯車が軋んでいる、ときは
未だ続きを求めて 泣いていた という


自由詩 走馬灯 Copyright あらい 2022-02-24 22:07:28
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