小学生が生延びるための算数
室町

あいかわらずコロナ騒動が続いています。
もう十年以上日本のテレビは見ていないのですが、一年ほど前、たまたまDVDレコーダーの切り替え操作を間違って朝日新聞社系のテレビニュースがPCの大きなディスプレィに流れてしまったことがあります。
目に入ってきたトピックスはこんな文字でした。

    インドで感染急増、1日20万人 

このテレビ画面が目に入った瞬間、ほぼ悶絶しそうになり
それからバカみたいにゲラゲラ笑ってしまいました。
テレビは相変わらずこんなデマを流しているのか。そう苦々しく思ったのです。
1日20万人感染。そういうこともあるでしょう。いかにもありそうなことです。でもわたしは即座にそれを疑いました。
1日に20万人がインドで感染したということですが、とうぜん、だれか具体的な対象を検査をしなければ感染したかどうかはわかりませんよね?
そこで質問ですがこれは20万人を検査してわかった数字でしょうか? 
もちろん違いますよね。検査した20万人全員が感染者だったなんてことはありえません。検査した人の中には感染していない人がいるはずです。ということは20万人の感染者を見つけ出すには、検査した人の数が20万人より多くなければおかしいわけです。
つまり感染者数20万<検査を受けた者の数です。
そこでひとつ仮定しましょう。インド全土のコロナ感染者の割合が100人に1人だったとします。
すると20万人の感染者を確認するためには理論的には、その100倍の2000万人の検査をしなければならないはずなのですが違いますか? 
でも、こんなことは不可能でしょう。
1日2000万人を検査して当日に感染の有無の結果を出すにはPCR検査機が何台必要でしょうか。1台のPCR検査機で1人の感染有無を出すには約6時間が必要といわれています。ということは1台の検査機で24時間に4人の結果しか出せないわけです。(いちおう無駄な動作がなく、迅速に検査が行われていると仮定しています)しかも24時間不眠不休でやってるわけではないでしょうから、実質、検査が行われるのは12時間ほどで1日、1台で2人の結果しか出せません。

そうすると1日20万人の感染を確認するには、インドには1000万台のPCR検査機器がなければならないことになります。さらにその検査機に従事する専門の技官も1000万人必要です、それから......
いや、もうやめましょう。機器の数や検査技師の人員だけの話ではありません。単純計算しても、1日20万人の感染者を確定することなど現実にはあり得ないことなのです。

そこで仮定の割合を一桁落として、インドの感染者数が10人に1人の割合だったらどうでしょう。そうだとしてもあり得ないことは同じです。先進国の欧米でも1日200万人を検査して結果を出す機動力、検査能力は直近までありませんでした。(*最近日本のメーカーが一台で同時に多数検体を検査できる全自動PCR検査機を発明してフランスなどで使われています。これとて現在でも世界にも何百台ほどしかありません。)
そこでこういう反論があるかもしれません。
これは「1日に」ではなく「一日に付き」ということではないかと。
「一日」ではなく「一日に付き」ということは、ある期間の検査結果全体を日数で割ったものをさすのです。わたしもそうかもしれないと考えました。ですが、テレビ報道では

  3月中旬から感染が再拡大。4月5日の発表で
  初めて1日10万人を超え、それから10日で
  1日20万人超となった。

と報道していました。「1日に」ではなく「1日に付き」と受け取ったとしてもその範囲はわずか10日間ほどのレンジでしかなく、まったくお話になりません。  
つまり朝日のテレビ報道は科学的あるいは算数的にはデタラメということです。ちょっと考えてみれば直感ですぐに有り得ないとわかることです。

コロナに関してはこんな類のデタラメな報道があらゆるところに垂れ流されています。東京都の感染者数発表など、yahooニュースやyoutubeで過去のものをいろいろ調べてみましたがほぼ全部が意味不明でした。
東京都の場合はもとのデーターがほぼ数日置きにコロコロ変わっているのですが、識者や政治家でそれを批判する人が1人もいないというが驚きでした。
異常なのはマスメディアだけでなくお茶の間の側でもそうです。テレビ報道を無批判に受け取り、そのままを受け流しているのです。
この雑文を読んでも多くの方は「でも、やっぱりテレビのほうが正しいだろ」とおしゃるでしょう。きっと何かの間違いだ。陰謀論に決まっていると。不思議なんですよね、その妄念や信仰はどこから来るのか。
*誤解されないように強調しておきますと、一日20万人の感染が嘘だといっているのではなく、一日20万人の感染を確認することが不可能だといっています。

わたしは算数が子どものころから苦手で中学生のときもほぼオール1でした。高校進学はしてませんから高校程度の数学の知識もゼロです。そんな愚鈍なわたしがテレビニュースをみてすぐに「あっ、これウソだろ」と笑い出す。これはいったい何なのだろう? と思うのです。

おそらくわたしが無知無能だからじゃないだろうかとも考えました。余計な知識や思い込みがないから頭のいい人がすっとばしていることを「え? これおかしいでしょ」と首をひねるのかもしれません。
あるいはもう十年以上、テレビ、新聞、週刊誌をみないことに原因があるのかもしれません。変な洗脳にかかっていないのかもしれない。
もちろんネット上でCNNやニューヨークタイムズ、FOXニュースなどを翻訳ソフトで読んでますから、世の中で何が起きているかはだいたいわかっています。ただし、日本では決して報じられないことが多すぎます。
小中学生の方がこの雑文を読むようなことがあれば、日本のテレビ、新聞、週刊誌はできるだけ見ないことをおすすめします。yahooなどで日々起きる出来事のヘッドラインだけ知っておけば十分です。それによってテレビや新聞解説者の、なにかおかしな洗脳から逃れ、ひいては将来、身を救けることになるかもしれません。
もし日本のテレビ、新聞、雑誌を見るならば、全部疑ってかかるほうがいいでしょう。とくに日本の全マスメディアは党派的であることを隠してリベラルの擬態を示していますから、そのような似非リベラルによって発言されたことばを鵜呑みにせず、その逆をまず考える習慣をつけることが世界の真実を洞察する入り口になると思います。
そのことがいずれ将来、自らの身を守ることにつながることは間違いないでしょう。


散文(批評随筆小説等) 小学生が生延びるための算数 Copyright 室町 2022-02-21 05:57:33
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