憧れの誤読の人生
板谷みきょう

星新一のスマートさよりも
「最後の喫煙者」になろうと
真剣に思っていた程
筒井康隆に傾倒し全集を読み
ドタバタが好きだった

だったはずが

老眼が酷くなるのと同じく
10とか12ptでは
読む気がしなくなり
今では
14とか16ptじゃなければ
安心できない

山頭火全集や放哉全集を
持っているけれども
完読する集中力が無く
読み切れない

それらは
生活全般に侵食し
暮らし振りそのものが
大雑把になっている

アクセルとブレーキの
踏み間違いをするのも
もうそろそろだとも
思ってみたり

事故を自動車のせいに
するだけの頑迷さもなく

昨年の八月に起こした事故は
弁護士を雇って対応したけど
損害賠償等は
百五十万円を超えた

そんな金も無く
金利凡そ
13%の消費者金融の
フリーローンで
支払いを済ませた

他の歌い手達のライブ情報を
facebookで知る度に
唄えない自分を
なんとなく
どことなく
何やってんだか自分と
物憂げになる

仕方ないさ

わかったつもりで
残りの
おまけの人生を

誤読ですまそう



自由詩 憧れの誤読の人生 Copyright 板谷みきょう 2022-02-15 04:02:20
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