炎の柱(一)
朧月夜

その時、盗賊ヨランが眠りから起き出してきた。
エインスベルの危険を察知したのである。
「我が名はエランドル・エゴリス」
その厳かな声は繰り返して言った。

「エインスベル様、ここは危険です。
 あの炎の柱は、わたしが幽冥界を訪れた際にも見たものです」
「エランドルは、わたしを幽冥界に連れ込もうとしているのか?」
「それは分かりません。あなたの命を奪おうとしているのかも」

「エインスベルよ、お前はわたしの最愛の恋人、ククリスの生まれ変わりだ」
「わたしは誰の生まれ変わりでもない。ファシブルの第三皇女、エインスベルだ」
「それよ。わたしは三千年の時を待った。お前が転生するまでに」

「戯言を。わたしは母マリアノスの仇を討つのだ。
 誰もわたしの邪魔立てをすることは出来ない」
「エインスベル、お前がヨースマルテ一の魔導士であってもか?」


自由詩 炎の柱(一) Copyright 朧月夜 2022-02-11 05:16:36
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クールラントの詩