明日への約束
坂本瞳子

水を入れ替えるのを忘れた
花瓶だったろうか
金魚鉢だったろうか
お仏壇の茶湯器だったかもしれない

いずれにしても罪深く
自己嫌悪を覚える

最近はこんなことばかり
やることなすこと
なにもうまくいかず
自らを責めて
気持ちは落ち込むばかり

晴れ晴れしい気分を味わうことなんて
もう二度とないのではないだろうか
笑顔なんてもう忘れた
そんな風にさえ思うけれど

それでも生きてゆかなくてはならない
そんな現実が目の前にあって
踏みとどまることなんてできず
足踏みでもいいから
動かずにはいられなくて

なんとなくただそうしている
そしてまた自己を嫌悪し
流れる涙を拭きもせず
せめて深呼吸をしてから
歩き出す
明日はまだ続くから

そして心に誓う
明日の朝は忘れずに
まずお水を替えてあげよう


自由詩 明日への約束 Copyright 坂本瞳子 2022-02-03 22:40:27
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