アムニージアック
ひだかたけし
ふくよかな体つきのサウンドが
自らに重なり溶けて
一瞬青ざめ
ゆっくりと身をもたげる
擦れる不協和音と伸びやかな声
夢の中に解放され
雪原を転げ廻りながら
記憶喪失の通行人のように
来し方も行く末もすっかり忘れ
堂々巡りを繰り返す
捏造された記憶に踊る無数の人間に囲まれ
次第に足場を失い叫ぶ、叫んでいる
*
酷く憂鬱な気分で日が暮れる
ノスタルジックな響きが這いずり回り
夜闇の無帰属に放擲されながら
階層の異なるピラミッドを昇る
次第に恍惚となりながら
失われた大地を目指し
昇る、昇る、
ただひたすらに、昇る