ポケットに手を入れて
室町

何もしなくても
行くあてがなくとも
自分の歩き方で歩いて
気に入った都会の
気に入った街角に立つ

その姿が
わたしから
あなたへの手紙だ

たまには整地された屋敷跡の
縁石に腰を下ろし
たまには缶コーヒーを飲み
たまにはノラ猫の歩調に魅せられる

ときにはバー街の壁にもたれて
カラスの声を聴くこともある
そして
ときに石になり
樹になる

それが
わたしがあなたに見せる
身体だ

何もなくとも
サル目ヒト科‌にんげんは
鳥のように
自由だ




自由詩 ポケットに手を入れて Copyright 室町 2022-01-30 10:09:24
notebook Home 戻る