座礁
あらい

いつつけたかわからない傷口が急に、
息をするように濁濁とさせた
特に痛みは感じないのに

意識が揺らいでいくのを、当然のように身を任せて

宵闇に細君は竹林と透かして、
永遠の処女に咥えた火種が萌え突切る前に、
あなたに口移しで分け与えてしまいたい。

轢殺の轍
かおりものこらない 乳母車の靑、
純潔のアサヒに思う 熨せられた屍体の
いじわるなだけの、なみおとが

みなきづかずに通り過ぎるだけの 
未来になってしまえば、なんてこともない。
犠牲は必要だった、そんな風に思えばたかがしれている。

捻挫傷、が膿んで、
骨が折れただけでしょう。なんて脆い
惨。しおれた花が ここにきっと

まちばりで潜るように秒針が指す、
じぐざぐ産まれた、温いだけの体温で閉じ
やわらかいガーゼの肌を合わせる

あとかたも、ないだけの。いまにあう、

個々は砂漠の白、
外はみちに開かれるために
両手で作られる手鳩を胸におとして


自由詩 座礁 Copyright あらい 2022-01-24 00:10:11
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