僕らは何にもなることができない
ねことら
言葉を尽くしていたい、死力を尽くしていたい、とても簡単なラップ調の聞きざわりのいいフレーズだ、ばかみたいだね、産湯にひたるような薄い感傷、何かにいつもいら立っている、どうやったって黎明、並べただけのこうした羅列が何かに届いた気がしていても一秒後に爆砕されてしまう、残影になる、素性の知れた未明、みんな生きていてほしいだけなのに、光ある場所をみつけたいのではなく光がそっとここにあったことを証明したいってことを、遠くに届く声を詩と呼んだりはしない、詩はひからびて眠り続けたここにある言葉だ、ばかみたいだろ、何かに抗うことですこしずつ息をして、僕だってそうだ、かなしいかなしいかなしかなしうれしいうれしいうれしうれしうれしいかなしい、くりかえし難解でも何回でも何階でも何かをからっぽに叫んでいる、輪郭のひろがるぶぶんを規定してその擦れ方をきれいだね、すてきだねって、ばかみたいじゃねえか、透明な色鉛筆で書いた字が見えるわけないだろう、僕は脳の積載がたりない、もっと賢くなりたい、だって生きて詩を書いて出し切って生活してお金を稼いで、何にもなることができない、僕らは何にもなることができない、書いても書いても書いても足りない、もっと生きていたい、生きるのがいやだ、でも書いてしまう、だれに止められるわけでもなく、いつまでも生きていくことができるように詩を書いていたい、泣きながら書いている、ばかみたいだ、くりかえし、くりかえし、詩を書いている、僕はいつまでも詩を書かなきゃいけない