復讐の始まり(六)
朧月夜
ファシブルの国は、ラゴスの国の南西にある。
クールラントの国に攻め入ろうとすれば、七日の距離にある。
ミーガンテ・アリア・ガルデは野心家だった。
かつてのアルスガルデのように、北半球に魔導帝国を築こうとしていた。
そのファシブルの国に攻め入ることは、
アイソニアの騎士にとっても願ってもないことだった。
ミーガンテを排除すれば、国王の恩赦も得られると思ったからである。
祭司クーラスも、それには異論を差し挟めまい。
「エインスベルよ。俺はミーガンテ・アリア・ガルデを倒してみせる」
アイソニアの騎士は語った。それに対して、
エインスベルは軽く頷いただけだった。
エインスベルの復讐心は、どんな思惑ともかけ離れたものだったのである。
復讐のために、執念のために、エインスベルは生きていた。
彼女の様々な魔法は、唯一この時のために習得されたものだった。
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クールラントの詩