眼鏡をかけた彼の人は
坂本瞳子

眼鏡越しのその眼差しは
やさしそうにも
悲しそうにも見えて
決して本音を見せてはくれないのだと
寂しくなる

意地悪をしてみたら
意地悪を仕返してくれるだろうか
眼鏡を取り上げたら
むきになって取り返そうとするだろうか
私はよっぽど性根が悪いらしい

分かったふりをする気はないのだけれど
寄り添いたいと思っている
いいえ
寄り添って欲しいというのが正確だ

思っているだけで行動が伴わないから
気持ちが伝わらないのだろう
だけど言葉にするとそれはとても嘘のようで
誠実さを求めて今日も彷徨っている


自由詩 眼鏡をかけた彼の人は Copyright 坂本瞳子 2022-01-12 21:58:00
notebook Home 戻る