ルコに宛てて
茶殻

書棚の肥やしになっていた15年前の文庫の小説を
読み返して
僕は変わってしまったのか
正確に言うならば
僕は老いてしまった、これからも失くしてしまっていくのか
そうやって氷の気分になって

ああルコ 君は勝手に死んでしまった
べつに羨ましくはないけれど
今日も不安なんだろう僕はね
言葉にしてようやくもやに影が浮かぶ

ひとりぼっちの火をたばねて
でも大きな火になんてなれない
何かの事象について
そう喩えることができそうなのに
それはどの気持ちなんだろう

罪のひとつも持たないようでは
為政者に相応しくないのかもしれない
冷え込むプールに注ぐ日差し
なぜ晴れも雨も何かを咎めずに居られないのか

美しい過去と戦うことも出来ず
いまいましく引き出しを閉じたり開いたりして
生きたり死んだり心は忙しい
胸に太陽が欲しいのかもしれない
呟いてみるとそんな気がするんだ
昼休み散り散りになったフロアで
あくびをしたら
ルコ
甘くないドーナツで熱い紅茶が飲みたいよ
ぜんぶは良くないけれど
今日も君が慰めなくてはいけないほどではないんだろう





自由詩 ルコに宛てて Copyright 茶殻 2021-12-31 23:01:12
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