はなび
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 はなび

いき残って欲しかった
近所のわたしの野良犬たち

いつも 連れさられていった
空 そら、闇をてらす
町のあかりをするするすべり落ちてきた
きらきら ほら、海の向こう
火の花の 蕊おちる

ゆらゆらゆきくる でも無線飛行
誰? 彼? かわらけ?
ちがう わたしをうばい合う
からみほどかれ 焦げついた文字が
いらかをたたく げんこつが

だれかの、壁にほった便りを
うち消すゆびにつぎつぎ這い登る
朱がたぎり、ついに色をなくすまで

雨がふると その人は
きまって線香花火をあげさげしていた
夜の祭りを見ようとせず
どこかの犬と
枯れた舌で 星をのみとりながら



自由詩 はなび Copyright soft_machine 2021-12-23 16:13:10
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