指フェチの夢想、連弾
坂本瞳子

繊細な指先が愛惜しくて
ページをめくって欲しい

書き出される文字よりも
あの美しい指で握られた万年筆が気になる

約束なんていらないけれど
あの小指とならばつながれたい

雨が降り出したら
かの指先で傘を開いて

アイスコーヒーでもアイスティーでもいい
その指でストローの袋を切り裂いて

ほかよりは少し骨太の親指ならば
リングをまとっても良さそうだ

ネクタイを首に巻くよりも
その優雅な指先に絡ませて

その指の冷たさは小銭にも移るだろうか
いや、紙幣やカードではなく

あの指に結ばれる靴紐は
そしれ留められるボタンは

エレベーターでも信号機の待ちボタンでも
見かけるとあの指先を思い出す


自由詩 指フェチの夢想、連弾 Copyright 坂本瞳子 2021-12-11 22:49:45
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