滑翔
あらい

カーテンの波間には素肌の得意げな君の
 振りまいた泡沫の陽炎が織り込まれている
右頬から愛し合って薬指から零れていく星星が
、輪になって おくるみに沈んでいる

便りない、まっさらな風に乗る、紙飛行機はどこまで
言いようのない出会いを、口ずさむのか
偶然を盗り合って あのモデルはどこへ向かうの
高飛車なチンクシャ猫が 黄ばんだ駒のひとつを無くした

  「悲痛な叫びで紡いだ言葉も簡単に捥がれて 
  あなたに庇われるように無惨にも口封じさ。」
なぎさのうえを、走り回る未来が、なみうちぎわで、弾けて消えた。
灯台から流布される、うたごえはかすかに
  「切り刻まれてしまうね。愛してるの呪縛によって、」

『何処まで行っても平行線の抱擁を口伝してさ』
 ハミングするような 瀬戸際の、満ち欠けを浮かべている、
 母なる海に、暈けて 墜ちた。尖ったほころびが、

ひるがえった翼へ。


自由詩 滑翔 Copyright あらい 2021-12-02 22:12:13
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