ニンフ
あらい

向こう岸に移る山崩れを即興する
格子の廊下の底が、またたくあいだに、
亡くなった人々が、浮かんできます

輸卵管から噴き出す、落葉樹の後にも先にも
無抵抗な琴線を生まれながらにして破れ
手押しポンプの白椿 樹陰にて胸に響く

冒された刺青は。

待ち望んでいたはずのファンファーレに
(突撃ラッパに)
ずるずると剥けたあとの、脳髄と、
焼き切れたはずの、
外れの(門の紋様が)
当たりくじのように、胸骨が、ヒレを泳がせ、て
手のひらの、うえの 平和を均して
定刻通りに、発射させていた。

( 燐 )

水平面に対して、垂直に勃起する
しとやかな水仙の (直立する)
房状の嫋やかな、揺らぎに白く
涸れ尽くして、嗄れ果てた。
凡て、弾奏
血の海とノイズに生み出される
命を拾うような粳ウルチを念じ、皮一枚に

しわくちゃのイニシアチブ、朱い

暮れ残る美酒佳肴に豊満な躰は溢れ出し
そのナフキンは穢れています
蒲公英のように、華美で黴た小路を彩り
拭うように、躾けられた番犬どもは
過去に、(確固)に。

(糸を引く)


自由詩 ニンフ Copyright あらい 2021-12-01 22:00:01
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