御玉杓子の憐憫
あらい

青瓷の封緘、奥に媚薬を少々
   瑠璃三鳥は粧し込む、殊にムクロのたましい
     金輪際 からくり時計の砂粒すら風花に充散る

それにしたって窮屈な匣である 「わたし」 は
どこへむかうのだろうか?  
 カラコロと仄かにおう 鈴の音の 歪なことと、静謐な
ざんぎり頭を撫で抱える、この子の胸に

ふりだし、に転げた賽の目の 一生を高棚に含ませる
記憶には残らない遊戯に ズレを畳んで、
 薬包紙に灰と塩水を綴って
いたずらに ウロウロ持ち歩くとする

  不意に立て付けの悪い盤面から、子種が一縷
漏れ出ていた。そんな出逢いだった

余の肥し 蘇の汚穢、伽藍堂の爾後 御機嫌如何かしら

 正しくは、そう 有り得るもの、
地獄の蓋 再びに繕いて綴じる、然し
  定かでは無い このありさまを昇り下る

℃のコワイロも絖り夥しく明瞭で滑稽
 五線譜に境界はない


自由詩 御玉杓子の憐憫 Copyright あらい 2021-11-30 21:52:18
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