この秋、神明 新たな始まり
ひだかたけし

通りすぎる街並みには
金木犀が甘い香を放ち
賑やかだった蝉の鳴き声は
示し合わせたかのように静まり返り
秋が熱した夏の背を押しやって
青く青く立っていた

あゝまた来たのだな
わたしは思う
幽明境を異にする
魂と魂の季節が
世界の遠い遠い地平を越え  
互いの名をあちこちで呼び合う
声と声の木霊する
透徹として澄明な季節が

宇宙の旋回する波動
どよめく此処に
深く潜行し
大地を蹴る
高く飛翔し真実を掴み取るため
世界から投げ掛けられる問いに
沸き立つ海に没しては
正しい応えを導くため

この秋、神明 新たな始まり








自由詩 この秋、神明 新たな始まり Copyright ひだかたけし 2021-09-16 19:03:02
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