月のみえない夜にねこ
帆場蔵人

眠れない夜にはねこを洗う 
静かにわめいてるドア越し
あけてはいけないと静止する
あけてみてみたいと開始する
それでは、有料、悠々、遊泳

幽霊、みたいではいられない
佇みながら座るための場所を探す
わめいてみたら、案外、静かだ

真昼から消えた夜
ドア越しに叩く暗号
角砂糖、を噛み砕いて
整列する好奇心を磨く
ねこをあらうたびに
毛がぬけて炭酸から
ぬけたものが漂うと
真夜中のねこを洗う
くるくるまわるねこ
夜から抜け落ちたねこ

ひとりであることなんて
しあわせのさだまらなさ
きみのうたごえはねこだ

開始するか静止するか
ドアノブを握り、唸る

まるで昼のような白夜、について
私は考えていた、ねこはしろいか
ねこはくろいか、しょっぱい、か

真夜中にあらわれていくねこ、
ひきかえして真夜中に座り直す、
猫が鳴く、餌皿が空だ、月が出た


自由詩 月のみえない夜にねこ Copyright 帆場蔵人 2021-09-03 19:52:36
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