太陽風
妻咲邦香

勇気を振り絞って
油は多めに
小さ過ぎないフライパン
見えてるものはひとつ残らず
もう褒めた

おそらく脊髄の早とちり
目覚めの悪さで駆け出した
羊をたくさん空に上げて
口移しのペリドット
流暢な言い訳は石になる

メエと鳴いて飛んでいったよ
メエと泣いて、ねえ
勤め人だった頃の神様に
教えてもらって悪態をつく

持て余すプロミネンス
砂煙のギャロップ
キリトリ線に沿って
あの日よりも大きい輪の中
吸い込まれて

水を注いでじっと我慢
メエと鳴いて思い出したよ
メエと泣いて、ねえ
今日の3分は明日の4分
思い切って蓋を開けたら
俯き加減の風になる


自由詩 太陽風 Copyright 妻咲邦香 2021-08-30 12:30:53
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