どうして降ってくれなかったんだろうね
AB(なかほど)


初めての男の子を
六ヶ月で持っていかれた母は
あらん限りの声を
張り上げ

それはどこまでも澄んだ
秋の青空に吸い込まれていった

その煙もやがて
秋の青空に吸い込まれていった




明けて静かな正月


少し笑顔の戻ってきた母の顔を見て
また
あの青空を思いだしてしまい


僕は振りかえって
あの日 
どうして降ってくれなかったんだろうね

写真に向かってつぶやいてみた



   


自由詩 どうして降ってくれなかったんだろうね Copyright AB(なかほど) 2003-11-25 06:21:38
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