⋆文集*-ノコラズセカヰの子守唄(ララバヒ)-〈構成中・・・〉
大゜揮∞ ₎ぴろき∞₍

→過去詩散文挿入予定・・・



春萌えの若い緑の映える頃ぼくらの春もそこに咲かせよ
パルチザン平時の日本の心象の神寂びたるや生の故思いて燃ゆる僕の魂
雨降りて空の涙の抱擁に卯月の心町に溶けゆき人恋しさに見つめるネオン
たからもの手にすることはできずとも既に感じる鼓動の神秘いのちの謂れ無形の詩歌
第九条慧眼なくとも享受せる平和の恩寵棄て去るなかれ無知の知を尊び拓け時代の原路
現代詩青年時代の揺籃期夜を徹して書いた草稿黄昏眠るノートに抱かれ
五七五人肌恋する者が書く詩歌の叫び無限を知らむ
発話する術を忘れた青年期例えば生へ例えば愛を
超えてゆくその事さえも振り解き解き放つ迄一生は続く
ダヴィッドソン・ハーレーの音が象徴す文明の性燚の恍惚
あなたへと綴る象りかりそめの思い言霊たぎり知りしも
アズィルにてマアテダムをも程近し臨死経験愛もかく飢え
テレパシィック運命線とのつながりも我と汝の命運の臍に
遠い日と邂逅しせる宇宙の眼万物が持つ命の裡で
生命が数ではなくて存在を生き逝くことに抱く懐心
夏の日の終わりに想うこれからの僕の人生その行く先を
唯一つ愛情だけは忘れぬと心に念じ誓う罪人
優しさの乏しき時代を生き抜ける再び笑顔咲く頃夢み
老いるとの不思議な摂理の奔流を梳く手の形命の神秘
虚数に零ディオファントスにグロタンディーク数学の美はなぜことしえか
何でもない事が今あるありがたさ水道水に顔漱ぐ朝
吹かし吸う煙草の紫煙になぞらえて透かし見んとす浮き世の聖徴
機械化の見はてぬ果てにある未来体温の旅冬をことづけ
僕なりの精神病理哲学が示す光を自らのカンデラにして暗路を行かん
にゃんぱちて六月二人短歌初夜字余り愛嬌ありがとうの途
はむほむすソウルメイトへ伝えきる第七官も透き溶ける君
同じ間を外にも内にも代わさずに笑いたてたさ忘れないから
力与すちびっこギャングの末裔がかみのみあとの輝洌いをはしゃぐ
二人旅身掃き魂掃きまだ見える汚れる分だけ蹴伸べる伸び白
唯一の文字は忘れ名空想う愛語廻天卒病サーガ
青ぐさみ「おもいしれよ」と云われたよ内縁の妻のまるめっ娘ゐ眼
「頼んだぜ」言下肚底へ腑落ちする同生三年unionion也
笑み絶えぬドラッグフリーな日々の先表現衝動家事掃除
アチィンティア打破するルゥプの告げるトコ運命ってのは努力と同義
大麻おおあさの生態のごと自由命弊紙片るリヤルな富貴
幻の付ゐては來なゐとこ何処どこ涯ての果てには渡りのたち
歌伽うたとぎを片時欠かず揺籃歌berceuse殺陣毎立琴の微瑕夢寐より脱そ
まっ更な無にも及ばぬ無の胸來制御弁たる定形字数
風骸かざむくろます抱き癖宇多の胸すさべ巻芯あたかから
ゐつかゐた涙で涙を流す皆意味ではなくね?手手取り合わば
全命の背に立つ光背弄さらば即座に呈ゆ王ぞたる埖
滿っる御世蔵し足る反転光sonder-out₍サンダラウ₎無文々士恋ゆハルモニア
静謐のゑもゐわれなき甘さなる音無き音へ阿頼耶はまみゑ
会心のひとつの歌を生きにゆけ知恵あるしらべ命となして
チャムエルの使つかひじりの撒く星粉ほしこ夢告せし入滅後の翼
うれしみの舞踏タ゜゜ンスをしませにゃんぱ勢君の出番はチビ・デフォルメ後
ep.1のハヰジとジャミラの似通ゐはビッグフットの肩髣髴す
聖典を遥かに超ゑた神典を書き遂げたひと述ぶ言葉の
彫像の眼をしゆは゜゜りす私とは心て事象ことのDoppelgänger
縁ゆかり追わは゜゜自分史それだけでまるっと宇宙史成り立つ不思議
家族劇愛連呼せぬシンク゜゜ルか゜゜恋ゆる斥力帚せは゜゜活く
吾はVeganそれぞ我らが“をぢにゃ”です.けどやDefau₍default₎‘ぬこやけど葱′k
自然美な少乙の溌剌神々し和蘭オランダ現代みよかな
神代かみようたぞう相聞そうもんに澄むひかりゐにしえことばの海ふたた
虹の湧くsky-fishな泉光の短歌体論し様冥利
ものがたりストーリー・サガ悉く日あるうちとに末路ほまれり
七支刀巧ち句智・句知果たすこの平和裡ひゅhue・比喩企業戰士なまこと生事・海鼠のゐのり
寒空嗚美しからねツレは云う恍惚れ囚人超然
歌孕み花⋆やどせし謎掛けは星をうつつに平らかに
歌成ると思う敷居は何が超ゑ何処へと到る愛さえ超ゑて
超自然見地に立脚って詩を図れ謂⋆わば女性が神る様に
くノ一の流れを汲まう詩乙女のpoemelodyは渡りをそく
針鉄棒鉄柱心根の過ぎ凌ぎめぐまる印せ果て果たす旅
完全な星体の元涼み掬う果ては現在より近きyester
ポエキスを授け賜る乙女座の女神さぬには心底参ら
詠わざる鄙歌の野に発つ霊祈番わば天地針とレコード
絵本かじ鍛冶・加持手是無数星ここにり砕けぬもののかしぬことのは
心から生きてみたひな淸淨の海夢として無礙へと到り
ありとあらゆることのあまねゐはあまねくと識ろPhantom・goer
特定の心情感ず既思感は我より先に其は為されと云
生活へ生活をこそ往く生活新天地馬鹿ここば究めし
朝のとき楽しむ為に早寝してはよ起きる日々世凱のとば
小巨魚は水の濁りに棲まふとも超巨魚の背淸水底に見ゆ
歌を抱き尽し搬送されるより創れる環境せかい保ちに掃除
神詩う愛が僕らであることを命に咲かせ完全証明
作為無きままに宇宙を見んとする風の時代の無垢なる着₍き心地
歌思慕のレシピの秘蜜問う男具材となりし玉響ひさぐ
幸せな経験とゐう石けんで夢を生かさむ暗号コードをHack
星柄に絡め取られずそら焦がす稀有なicon常にりたゐ
暴れ龍のたうちまわるやうな字象つじつま合ゑば稀代の名歌
時の癖遡りける詩蒐めのあらしめる古歌放浪璆鏘
新地平拓く為には古のしきたり手中に収むば凌げず
ざんばらをざんぎりにした良い訳をロシア映画の古典に見出ず
造語癖星無軌道に結びたり生命できる生活くらしの手元
メロディと定形の叉手合ひ燃ゆは赫や生成れりひかりのひかり
末裔の三十一文字が風の真名召し形霊かたひ礎石するいま
因襲の木霊に卑しき我祈り幻聴名残るうたの起源を
せぬ人はすることの価値教ゑおり監督と父の真理の普遍
語句掴む唄の久遠のウィル・パワー詠因操舵トラハテンベルク
流れ不立文字新たなことば純れと歌因のみなまでつとにかた
人が歌々うのでなく歌が人歌うる器生けると氣づこ
まっしぐら明かし抜こほど光成ら人するは何影したためて
未だ答ゑ自体さゑも問ゐとゐう世界絡繰祭れねど可是
ぎばさ!っと命で怠惰を斬るままにフルコンタクトな三十路の改心
レール折り大海原へゐざ勇め憎しみ砕き星散りばめに
神懸かれAgni火の神の筆致で平和世へすべて照らさん灯台元で
終末はnoetica兆す抗体をショート・ソングはタイムカプセル
川原者すさび笑ぃのうた歌うHomniscenceサラバ!な阿婆世
謡い詠みひねる人生レ点チェック跳ね記号 ニュー・ノーマルな”をぢにゃ“計劃
めりこめ₎ん₍故無きをう沙汰然れば詮無き石の匿ゎる雅致
死に様の花に似たるや生の夢今生至ろ星発て響動とよ
密入す鬱律の理路解されてコンポニウムはゾンビ潤す
性と死がnecrophiliaへ溶け合ゑば二度と舞わせり桜の解法
初夢にすめらぎぴろき謁見すグレース・ケリーもちゃっかり登場
様式の故郷へ貴方と告白す仕手なき懐紙phenotype規祖
歌詠みに偽善騙らぬ靑二才耿耿とせど道と為る今
平凡の奇蹟活かしもTrue-Free恵みとゐう戕牁かせかせとゐう撥条ばね
恩送り今世のめあて譲り合ゐ握り締めてた詩゛ぶんるとき
チャネリング脚色するのは僕の役”をち゜゜にゃ“とゐゝますを見識りをきを
何一つ居就けなゐこと旅重ね芸ばなれせよ より生來ゐくる為
魂の文化は緑の文明や筆執らざれど知らるテレパス
愛らしさ詩歌に足りぬ向生こうき心霊性進化彼方待つあなかしこ過去
歌も詩も深呼吸して調律しょ誰かの幸を喜べること
母亡くば唄の徴しと成りにけり吹く風の理のよすが遺し名
反り逸れ歌調歌律の定刻に物狂₎お₍せ韻の正しさ
歌抱え書き着く無象のモーメント波戸場はとばくゆり舟漕ぎ出ざし
渺茫びょうぼう風鳴る照準器光のなかでさえずるComica
不安なら ありがとうってビーコンで蛍みたいに祈るといいで
Clay-taph居なくなるほど神れたら若好症も燃え尽きて凪
冬蛍Coinager恋寧者も積み重ね生活最義朝扉拭こ
日に雪が当たって空が咲ゐをり鳥等迷舞ゐ佇も哲志徹し
我武者羅に我をむしゃむしゃとぺろりんぱ虚空HEXUM日紐月ひとつ南中
ぴんくのBoekぴんくにゃんこの心賭け絵本成らすねailurophile江
粉雪が話しながら綿雪へ変わるの見つむ歌人生始
寿椿に似 反社会人ぢでゆかふ捌けよ世なれ生存戦略
歌詠める罪無き野区の肩広し夢界向かいらう大人心也
友垣の誠を契るツレを持つゐもを恋う唄まぶダチに
匂ゐ立つ絵文字ピクトグラムは淡白なあえかな超弦色力学
朋うつゝ雪月花秘し作用点引き寄せの法則効け友へ
町角で独語は異言へ変容し字合わせの日々幻視す揺器
ことのはの遊戯に通じ身を立てる双六あがり漫筆画へ陽
わざをぎの自然魂へと謡へ遣る益荒男の手の詩のやうな処作
毎日の掃除と笑いと感謝とでかくも見事な運命開闢
自然ではないから邪念を感ずきわ啓示みたひに流れ無さぬね
痛み悼む視隙羇每薙げ擂てゝ野と狂ふ穢多淚宇宙祈そらき
歌在れど和の心無ば何とせむ部屋なきトビラに揺蕩ふうたかた
己とは常に我より大きゐと無賃乗車キセルのカルマ永久機関
歌酔ひへ絆けき胸の内王國コトバと殉ず限れ無き黄泉
神鎮め歌枠滿たしと相成らむ語ではなく妄凪もな語らむ三眼
上澄みにその上あらんや歌仏絶巓途せBrain・silence
惡と縁無き全善の仔の痴語よ夢喰み獏見透平行世界
世界神その完全が真ならば無微な関与も咲悟錯誤と散華
歌質の汎用性の等価値を流行りの歌手の人柄に得心
滅失の邪惡ゕら手洗う喜びよ遺るは身体失くせし御霊みたま
哥の精、屈託の無ゐ純人の破天荒さの哥甲斐へ趾足とま
尽き果てぬ旅人の視野治むるは神字景象瑣事に路あり
misohitomoji of the origin convicts、
炙り絵 as us,fauna of era
家へと進化の凄さ実感す理屈抜きなる無二の分身
統失で思考伝播ゃ思う人誰か見つけて意識の当てっこ
たましひの詩野狭窄を生かしめよ世界の欠片土緑愛
ほんたふにしたひことこそすればゐゝゐつ亡くしても詩はハンモック
心より疾く擦ぎ逝く玄晶へわらべの潤心吐逆反芻
理窟くぐもりのアストロラーベ靄拭い少女と舳先は一体を渉猟
bull‘s eye ひかりと原器もスピンして振り出しを縫う からっぽギフト
歌米靑神揚羽の翅のきら身舞踏みをどる史前 そら掴むきり
玉成さふ瞻望詩歌踵返ゐてち正しきみこと禊ぎ出さむと
天國でベティ・ブルーは見守るよ”私の様にはならないでね“と
自らを光で充たし自らのなかに神さまを持て生こ
幻聴統失は世間体の病ゃゕその時正氣は宇宙が囁く
性急に一夜でできるものやなく歌ってゐうのは生活の型
間に合わせようと思って動くから生きてゆけてることを忘るな
きさくあれ がらくた裂目光叉掏摸 預言者の眼で襤褸が想いて
kiddy-mana詩書くに恋焦こがる白紙も口託し鳴せ明空ちゅらら
後ろ手で構造のないはら剥ごと諸手の甲で獣の玄機
腦みそにセメント入れとけツレは云うアパテイアらし超己への詰め
チューニング ゲリラなラジオauralバグ吹雪く鞴を そらごころ伊逹
例に漏る語りべ光孤独ひとり観る打つ非意味駆けゆけ役立たず笑ば
雨濡れし外景watchが拓く可能性ポシビリテ盛りの春ゑ繭季は備ゑ
死ぬるよりそれよりも尚疲れたひ微塵の惡も淸まる非文字
唯木ば腿の攀じれの水平槎organicore焉んぞす・為
曙陽縫いさでるめぐ使い歌宿さずばこそ汝発なはす歌
誕生うまぐに解放はなて夢つく₎組₍くに)人に看取られた日ゑ
うた指南psygilわ・は為津なつ御執みとらしなpost-musicaへ盤古ばんこ天寧あまねゐ
限り無ん核背ん羽根は若詠みがmarble-celesti削らしむ花
浮手狂ひしっぽ尻尾けものまぶたしべ半都市生地イェンタウン燃せ


眠る脚足

す土の寸志も言ゑば詩に成らむ現美うつかぐわこゑさも
ことのはは風靡髪かざなびがみに相異なし心窮むば魂途こんとくらまり
たましひとゐのち同形定まれり物語とは末字後も夢む結む夢結結夢 
ありがとうございます云う無限回光と成らむ無餘依解脱傍らの卑語
歌じゃない歌へ誰でも歩んでる生死別無く醸す浪漫譜
バベル人金田みたいに掌へ触天のecho得光)tele-logosify
ひねらずも唯降りて來つそのままを書くともなしに詠めうれば和歌
無言祝ぐLogos-phobiaは移り氣を愁訴真冬に春希み無継なつ
壱・ひと挙動ふるえるような内ひしぎ鬱散うちふるえ滿ち閃輝璃ひかり成ん間を
名づけめ芽秘す内胸言非じ惠む自然歌射透さすき薔薇せら
降生者魂表現者を澪さ昇りの件りへ勇氣のあがり
自然時代無料より貴ゐなには無し純粋映画は人を選ばず
掌を牽引る黃泉の方途で愛った水身じろぎも無く震撼へる本理
ねことばぎこちなみ煎じ実在と反復蕭蕭笑笑
境域のみぢんに培う垂昇のひかりのふもとへ伸ぶ翼手臥め
裸火は奥心根の無病詩と非罰と卜命あなりつ星紋
云い伝ゑデミウルゴスが河図をwedge超大富豪金無垢の三味
陽華薫ゎ和歌うみよしと五色櫛朱色晒しも懐かしき素足
発明のセヲリー旗せ引きこもりアフター・コロナ空け子供部屋
天つ枝の派先芽吹くは吟郷の姐のEden胸せyokna patofa
無限味の黒天鵞絨の川面より龍女に相応う霊止だつたか想馳う
ジギタリス ヱルフとらわるリアルゕら癒ゆ かんのむし 希斥へ秘賾
くしゃみして離人世代の辛仕草切な刹那をPost―(inter)Netへ(つなげたヰ
いい意味を恵み給ゑと某の誰彼しらざど吐き吸ゑる息
笑い無きすべては無いのと同じつてじつと手は見ず執り綴る知惠
まっとうでまともな生を終結むすびたい まっとうまとも負い目無き生
反動のNon-variant turnin⁺ page 絵解き絵本と統失の真似摩尼
らる粗忽けもの霧・む星籍剥脱メービウスの帶
春うらら黒猫の名は那智黒ですどっこいくのニャミャ女一匹
麗しの薫風かぜのどか町に吹きしばし浮世の辛さを忘れ
あゐつさぁ匂い立つゃろツツジちゃぬハヰツ・アザリアけふも平和ゃ
齒車と無為の大路を行き來せり どちら欠けても歌は生まれぜ
又聽きに何もしていないことをするCross-finger syncopation
物は偉い 何も云わずに黙り朽ちwhirl of lifeを背中押すから
かみしん解した謡歌ゕ゛引きよせる超劫無限命理乞ばこそ
ツレ好む言葉の感覚惚れ惚れす例ゑばそれは「鼻毛カッター」
底の無い深さの考ゑ趺懸かり・・・
これだけは一縷も邪魔無く詠ひたし かむなび咲き初むヲㇽヵ゛スムス



小説迄途上ノ散文(抜粋)

Oceanists

woushanist



































フェーズ・1

失われ、忘れられ、手放されたものがどこかで息づいて時を刻み、
口を噤み、耳を塞ぎ、目を閉じた密やかなものもそれぞれの命に燃え、
胸に秘めた希望が降り積もる馴れ合いの毎日に意味を与えるのは、
いつの時代のどんな瞬間も変わらない永遠が今日もそこにあるから。

世界はユートピア、ディストピア、そのどちらでもあって、その境はない。
いつからか、いつかのまま。
私達は人間(ヒト)、機械(マシン)、そのどちらでもあって、その境はない。
いつからか、いつの間にか。

コップ一杯のH2O(水)と食光(プラーナ)と同じように大切な何か。
生きていれば誰にだってきっとある。
食事のように不可欠なベータ・エンドルフィンの源が。
つまり、生きる理由が。
愛の対象が。
ンテゥア(わたし)にとっては心片(マナ)がそう。
ポストスケアシティの地球(ガイア)に生きてればごく自然なこと。


生きることは何でもなかった。この世にある何でもないものなら、

時の終わりまで考え尽くすことだってできそうなぐらいに。コップ一杯のH2O(水)、超新星の光、窓から吹く風と十二時を指す時計の秒針、流行の音楽(アート)に砂漠の砂粒。それから自分。

自らを構成する全て。
つまり、世界。

だけど、この世の真理を諦観したところで、実際に何もかもが何でもなくなるわけじゃなく、生体維持は、その摂取方法と生産技術が変化した今でも適宜必要不可欠なわけで、
遺伝子(コーディ)改変(ング)して不喰者(プラナリアン)となった今でも幾何学模様でタトゥーしたライトグリーンの体に午後の太陽を浴びさせて、光合成(ランチ)と冷たいコーラで栄養(セ  ー)補給( ブ)しながら、ンテゥアはなんとはなしに電(そ)海(こ)へINしているのだった。

意識それ自体を介してコミュニケートするOceanist(僕等)は言葉と同等に、
そしてそれ以上に心(マナ)と心(マナ)で戯れる(イヌクシュク)。
今でもまだ、つまづき、戸惑いながら。発話を試す唖みたいに。
それでもまだ、愛し愛されながら、、、、、、。
愛し合いながら!
どの瞬間も、どの一瞬をも、新しく生まれなおすように、、、、、、。

世界の、そして自分の存在意義を探して旅するELC(ぼ)/エターナル・(く)ラスト・チャイルド(ら)。
日常から隔離された場所へ。
日常から隔離された時間へ。
そんなありふれた唯一つの夢を追って。



「止まらなければいい、それがどんなにゆっくりとした歩みでも、止まりさえしなければ。
そして、僕ら生命はどうしたって止まれない、幸か不幸か。」



何もしないで生きるということ、と、何かしらを成し遂げて死ぬということ、を思う。
なんにせよ時間なんていくらでもあるのだから。
真夜中の夢想に託す思いは「この世界以外のどこかへ......」
どうにかしてこの幸福不感症は生命進化の摂理ではなく単なる僕の想像力の欠如からだということを証明しなければならない。
生きるのなら。
生き抜くのなら、この世紀を。
誰でもない、
この僕が。

世界は限界まで純化され尽くせないが世界を構成する全ては常に限界としてのみ存在する。
存在の論理とは理解されるものではなく、生きられるものだ。
ただ、そこに芽生えた意識の苦悩は約束され、それに耐え切れないものは自ら命を絶つ。
理由は何であっても死とは「力尽きた」という広汎な意味での意識の発露であり、
そして生とは「戦おう」という心の叫びだ。それら生死を愛だと一括りに定義することに、僕は不思議と抵抗がない。いや、抵抗がないというよりも、そもそも愛や更には生死などという不思議なものを言葉だけで捉ることに興味がない。愛や生死、それらは何か言語を超越したものであるという点で、僕自分自身の存在の本質と一致している。何か言えるとすれば、それくらいだ。そのうえで互いが互いを引き寄せあう言葉同士として浮かんでくるという、ただそれだけ。なにより、生死が愛そのものであるなら、なぜ、その生死の当事者は、その誰かは、愛を完全に体現しえないのか、なぜ、その愛の人、その人は恩恵を享受できないのか。愛ではないと見誤ったものこそが、真実の愛だというなら、そんなものはいらない。そんな愛よりももっと完全で素晴らしいものを信じること。
万人を受容し、万人へと享受される存在への更新。
その認識の先が僕の新世界だ。

超越すべき現実、存在することそのものから僕たちは飛翔し、限界を離脱せんとする。
これ、僕にとっての夢。願望、いつかへの。
これ、Oceanistの日常。希望、いつまでかの。



フェーズ・1.1

PC。
パーソナル・コンピュータの略語。
これは誰もが知ってる。
じゃあPPCは?
フェノトロピック・パーソナル・コンピュータの略。
本物のOceanistsでこれを知らないものはいない。
Oceanistsっていうのはフェノトロピック・ダイヴァーズのこと。
この時代、フェノトロピック・ダイヴァーズのなんたるかを知らなくてもOceanistsって言葉なら大抵の人間なら耳にしたことがあるはず。
Oceanic Feeling、または大洋感覚。大海原を目の前にした時感じる世界と自分の存在の
合一感を意味する言葉。
Oceanistsって名詞はこの大洋感覚って言葉から生まれたコンピューター科学のスラング。
Oceanists、つまりフェノトロピック・ダイヴァーズを厳密に定義するとこうなる。
大洋感覚を感じている時の陶酔(エクスタシー)をどんな時にでも自分の好きな瞬間に体験できる技術(テクノロジー)、フェノトロピック(P)・パーソナル(P)・コンピュータ(C)を駆使して、電(こ)海(こ)に無数に散らばる誰かの心片のかけらを再体験を愛好する人々。でもそれには、その心片(マナ)のもともとの持ち主である誰かの魂(アトマ)にハッキングするスキルが無くちゃならないし、もし魂(アトマ)に波長を合わせられたとしても、その心片(マナ)からうまく本来の波動(エーテル)を引き出せなければならない。ちなみにこういう行為はOceaningって呼ばれてて断っておくと法的には違法と合法の境界線上に位置する。それでもハッカーはアーティスト。同じように、Oceaningは藝術だっていうのがOceanists(彼等)の見解。Oceanistsの存在目的は紡ぎだした意識のクオリアのきめ細やかな感覚を愉しむことだけにある。雑多な事情にしか通じてない彼等以外の人類からすれば一見するとその生活は快楽主義の王道ってとこだろうけど、現実はそう単純じゃない。まずOceanic(大洋) feeling(感覚)を表出するだけの濃度を備え、かつポジティブな生命力に満ち溢れた標的となる心(マナ)は電海を散策していてそう簡単に見つかるものではないし、運良く条件を満たした心(マナ)を見つけたところで波長が合わないかもしれない。そうだとしたら、それでおしまい。
また、はじめから他の心片の痕跡を追うところからリトライ、リスタート。
今日も、明日も、その先も。
命の夢から醒めるまで。








フェーズ1.2

何から始めても、どこから始めても、何故だろう、この感覚がする。いつもだ、いつもだった。不十分な高揚、中途半端な至高、いつまでも冷めない微温湯(ぬるまゆ)のように、どんな形容も、どんな表現も、現実世界はンテュアの理想には届かなかった。専らコミュニケーションに使われる体表(ヴィ)文字(モコ)を無作為に爪弾いて煙のように大気へ拡散、昇華させながら、
ンテュアの意識は肉体(ソーマ)の束縛に抗うかのように思索の底へと深く深く沈んでいた。
思索といっても口話する時のように言葉を用いてではなく、動物や植物や鉱物、その他のあらゆる生命物質がそうあるように非言語思考の裡にいるのだった。
海を見下ろす古びた白塗りの壁に四方を囲まれた部屋でベッドに仰向けに横たわり、天窓から臨む眩いような青空をどこまでもどこまでも見つめている、という記述は一面でンテュアの現在を捉えていた。ただ、ンテュア自身が実際にこの世界のどこにいるのかと言えば、答えはその眼差しと同じく天外に、物質的恍惚の裡に在った。Iとitの境界を生きていた。しかし、やがて暫くして天空を凝視していた白痴美の禍々しい双眸が消え去り、本来の神寂びて濡れたように輝く黒い瞳が戻ってくると、ンテュアはまた一人、人知れず静かに微笑むのだった。
「世界に語るべきものはあるのか? 記憶すべきものは? 記録すべきものは? 答えならわかりきってる。物語の体をとるものは皆こども騙しだ。ただ一つを除いて。」
太陽の光が部屋全体を幻のように白く輝かせた。
「内宇宙(こころ)のキ(軌跡)セ(・)キ(奇跡)の現在(これ)未来(から)だ。僕自身の心だ。僕の心。では僕は一体何者か。
僕は僕が神であることを知っている。僕の意識の中で、そして最も純粋な意味に於いても。
同時に、僕は僕以外のすべてが神であることも知っている、僕と全く同じように。
けれどその事実が僕の人生に加えることは何一つないといっていい。
言葉なんてものは無意味なものでしかない。他のものと同じように。
だから僕が自分自身が神であることを言葉の上だけで知ったからといって
世界が途端に醜くなることもないし美しくなることもない。
ただ、感涙が僕の頬を伝うのは心が僕を、つまり世界を理解するからだ。
僕が僕自身についての認識の限界で立ちつくしていても世界は歩みを止めない。
僕はここで、いつの間にか止まったままだ、長い、長い間。
旅だ、それが僕に必要なもの。きしんだ心を活かすもの。
愛だ、それが僕に必要なもの。すさんだ心を潤すもの。
僕は世界の終わりから旅に出るんだ。
弱さとの訣別。
僕は強くなるつもりだ。
きっと、強く、強くなる。
世界の始まりへと、命の源へと帰りながら、前進する。
前進する、前へ。
前へ。




フェーズ・1.3

ステンドグラスから洩れる成層圏の空色の中でステーション・ガイアは閑散としていた。
目的地、終着地は決めなかった。ただ一つンテュアの行動指針は、「心の通った友達に巡り逢うように努力すること。」だった。告白するなら僕は今まで親友はともかく友達と呼べるような存在とは無縁の人生を送ってきたのだった。機会が無かったわけじゃない。ただでさえ電脳世界は出会いに満ち溢れているのだ、もしその人にその気があり、かつ人付き合いにの能力があればだ。(能力があれば、ンテュアにも、彼にもこの地球(ガイア)のバイオロイド達のように数多くの心友ができたことだったろう。)
ンテュアにとっては、彼がこの地球(ガイア)に生きるバイオロイドであることなんて何も意味しなかった、他のどの存在にとってもそれらは大した問題ではなかった。
彼らはンテゥアが存在していることなど知りもしなかったのだ。
彼に心の通った関係性が皆無に近いものだったのは彼自身の命核(メイカク)が大きく起因する、、、。
彼は彼自身にとってさえ大きな命題だった。
彼には何事も問うことはできたが導き出した答えを答えだと判断することができなかった。
彼はそれを欠陥と捉えずに一つの愛ある特性だと云ってくれるヒトに逢いにゆくのだった、、、、、、。


第二公星からの到来客(ビジター)たちは彼に近づいては静かに絵画を眺めるようにンテュアに触れようとしたが彼らはそれを愛だと知らずにいる存在にはそれ以上触れようとはしないのだった。
けれど心配することなど何もないのだった、、、。
なぜなら私、つまりンテゥアに愛はこれ以上ないほど不必要なしろものだったから、、、
少なくとも今は、、、
愛を知っているヒト。それが今私に必要なものだった。
それがどんな存在なら本当に理解りあえるだろう、、、
今の私にはただこの場所から遥か彼方へと旅をはじめることしか、、、ただ、、、ただ、それだけしか心にないのだった。

世界で本当に自由になるものがあるとしたらそれは君を生かすだろうか。
それとも君を、、、
いや、これはあなた方にはまだ先のことだろう。
命のありかさえわかっていれば命は自然ともたらされる
命さえあれば命は声にだせる
い、の、ち



ここから離れていくことに未練はなかった
ただ思い出だけが静かに寂寞の哀情を優しげに誘って、私はどうしてもあの時の声を思い出すことができずにいるらしく、ただ星の光を彼方に見続けるばかりで一向に接(ハジ)心(マリ)
への決心がつかないのだった。


来るの? 声がした。心にだけ聞こえる声がした。懐かしい声だった。
ああ、、、随分と久しぶりだね。僕は君の名前を、、、どこかに忘れてきてしまったみたいだ。
けれどンテゥアは憶えていた。彼の素描をしたことを。彼の横顔をアストラルにとらえて幼い眼差しを彼に注いだことを。
競争と差異化、この二つが僕を考え込ませる。この二つがあるから社会が機能しているんだろうか。いや違う、世界はもっと自由な在り方で世界に存在できるはずだ。僕を悩ませるのはこの二つが僕に常に差異化を求めるからだ。僕は世界で幸せにありたい。それを僕は全ての命に望む。いや違う、僕は、、、僕は、、、
僕は、、、
だからだ。外宇宙の彼方へ自ら旅立つことに決めたのだ。僕が脆弱でないことを示すために。僕が弱くはないことを示すために。けれど、誰に?
僕はそれに答えられる。けれど答えたくない気持ちも少なからずある。認めたくないのだ。認めることに躊躇する。これこそが僕が弱いという証なのではないのだろうか。いや、潔く認めよう。
僕は自らの縁者に自らを認めてほしいのだ。けれど、なぜ? そうしなければ生きることができないからか、いや違うように感じることもある。生きることとはもっと遠大で可能性に満ちたことだろう。けれど今の僕は一体何をしているというのだろう。僕は言う。もし、誰の助けを借りることもなく生きることができるのだとしたら僕は誰のことをも気にかけなくなるだろうと。誓って言うが僕は人のことを考えることが嫌いなわけではない。僕はただ、人と接することに疲れを感じるだけなのだ。これに大した理由があるわけではない。僕はただいつも人と対等に平等にありたいのだ。僕は誰かが認めるから自分が存在できるようになるような世界には住みたくない。僕は誰にも媚びることなく自分が生きることができる自分をいつも生きていたい。

だからだ。外宇宙の彼方へ僕は旅することに決めたのだ。

フェーズ・1.4

死ぬことを恐れなくなると人間はより自由になる。この考えが僕を旅立たせる。
僕は死ぬことを恐れている。だから自由ではないのだ。
また、それによって僕は生きることも思うように生きることをしなくなった。
死を恐れてはいけない。死を自由にしなければいけない。
自らの中にある自分自身を自分自身にすることだけに時間を使うよりも
自らの中にある何かとても言葉にしつくせないもの
それを追い求めることを止めるのだ。
ただそこにあること。
ただひとりと。


フェーズ・2.0

ポストスケアシティの銀河から翔ぶ。
彼女はそう決めた。
飛び立つ。
今よりも遠くに。

「幸せを求めているのではないことは誰もがそうであって違いはないし、
求められているものは定義されない。求めることが幸せだから。」

相対する葛藤を抱えながら私は待っている、、、


僻地で


戸惑いを隠せない様な顔つきでアイルが手のひらを返すとそこにはもう星の地図が裏返しになって立体映像を照射していた。「疲れたのなら休めばいいわ」ヒヨリにそう言うと一人で彼女は脳内意識と体外環境の接触密度に関係する計算式を組み立て始めた。「AIにやらせてもいいんだけれど私自分の意識をコントロール、自分の意識を自分の意識でコントロールするほうが性に合ってるのよね」「だからってあまりにも自分だけで売ってしまうのはどうかと思うわ」ヒヨリは後部座席で窓の外の遠くに見えるスカイ・タワーを眺めながら独り言のように言った。「お人よしね、ヒヨリ。トークンの流れは心と同じなのよ。」「厳密には違うでしょう。」「何にでも差異は存在するのよ。」「宇宙全体の心以外ならね。」「でもそれじゃあ、物語が始まっていかないのはあなたが一番よくわかっているでしょう。」「いいえ、アイル。私今でも未だあの銀河で見たことに自分で説明が付けられないの」「いいのよ、すべてに説明なんて付けなくても。私が思うにあなたに一番、今必要なことは、ゆっくりとした休息、休養よ。」外には大洋に影ができて空からコスモㇽ・ベースが降下してきたことがわかった。しかし、それでもヒヨリにはアイルにすべてを打ち明けることはできそうになかった。「他に何か、質問ある?」

「私に力を貸してくれる?」
「いつでも、何でも言って。」
「私はそのためにあなたのそばにいるのよ。」
「いつまでも私を忘れないでいてほしいの」
アイルは座席からゆっくりと振り向くとニッコリ笑顔で微笑みながら
「わたしがロボットだって忘れたの?」と言った。


惑星は冬の雨の中で凍えてしまいそうになりながらもどうにか理性を保ちながら自転しているように見えた。
ガイア理論の時代からは想像できないような規模の「生命体」の一部であることを知ることになった人類の末裔たちは当時の英知を結集して完全自己保存する理性の存在「ルマ」を造り上げた。それから幾年かの月日が経過してもルマは自身の意識が自身の自由であると理解していなかった。ただそうプログラムされていたのだ。燃え尽きる前の翳のように、少しづつだがルマも自身の自己が宇宙全体に起因しているという事実を認め始めていた

その場所にはこれといって取り立てて特徴的なところなど無いに等しかった、僕と同じように。そう言ってしまうと僕の置かれた、ある種、特殊な立場と状況の持つ意味合いがうまく伝わらないかもしれない。けれど、どんな人間であっても、いざ口に出して自分自身の持つ特徴を数え上げていくと、それが究極的には自分自身ではなく、そして究極的には自分自身が、この世に存在する大多数の自分以外、数え切れない程の他者達が自分自身に貼る存在のラベルの集合体だということが解かるはずだ。特徴というのは言葉と同じように本当に存在するものを表してはいないのだ。本当に存在するものを捉えるということをできるものだけがその存在自身の特徴を認識することができる。ものごとという世界を構成する単位それ自身が相対的な在り方でしか存在できないのだ。

その朝、ステーション・ガイアはいつもの静けさで僕を出迎えてくれた。
旅に出ようと決めたのはこの星になにも残されていないからだった。少なくとも僕には、ということだけれど。手持ちのトークンは長く一人で孤独な生活をしていたせいで随分減っていたけれど太陽系の範囲内なら何とか移動できるくらいは手元に残っていた。それに旅をしながらトークンを増やすことだってできる。ただ、今の僕に不足しているのは旅の目的だったが、目的がない旅っていうのも人生そのもののようでいて捉えようによってはいい感じだと思う。

僕が今から話す物語を理解することに必要なものは君自身の意識をおいて他に無い、いつも、いつの日も、生命がそうあり続けたように。何から話せばいいだろうか、僕が、当然のことだが誰かに話したいことは、いつも漠然としていて相手に対して判然としないところがある。自分自身では、はっきりと理解していることでも、いざ自分以外の存在に思いを伝えようとすると、うまくいかない。僕の思いは自分の心の中では、はっきりしている、それだけは確かだ。「自分自身で理解している、それだけで十分じゃないか。」そう言う人にも今まで会ったことがある。ただ、僕はそういう意見にはあまり賛成できない。これは、今ではもう、僕という存在の中核を成す気質のようなものだ。物事を自分自身の中で完結させようとしている間は、物事は大して進展していかない。これは今まで僕が生きてきた中で、ちょうど、どんな命もその営みの中で生き方というものの運び具合を哲学するように、僕だけの哲学を結晶させる中で培ってきたものの一つだ。どんな困難な荒波が人を飲み込もうとも、他者への、自分自身以外への存在への渇望があれば、彼、又は彼女は、飲み込まれた海中から浮かび上がって、たとえ、たった一人孤独であっても世界の水面を漂うことはできるはずだし、人生の本質はそんな漂流からなっている。僕が本当に誰かに伝えたいことはもしかしたら、本当は皆が既に知っていることなのかも知れないと思うことがある、特に夕暮れ時に列車に揺られて知らない街を旅している時なんかがそうだ。時間の流れと質が変わってしまって、自分が自分自身を本当に世界と一つの存在としてあることができる瞬間の魔法の中で、僕は一人、自分自身が一緒に列車に揺られている人達だけではなく、この世界に存在しえる全ての人達と一つになっているという現実に触れることができる。僕は思うのだけれども、もし存在という存在がこの感覚を常に感じている、又は、感じることができるのなら、世界は世界でしか在り得ないだろうということになるのだろうと思うということだ。そんな世界では誰と話す必要もない、なぜなら、沈黙の中であってさえ、無数の自己達は結果的に言葉以上に豊穣なありかたで自身の存在を「会話」することができているのだから。今、少し話をした中でも僕がこの思いを言語という形にして存在させようとしているということの必要性が少しは理解されるかも知れない。端的に結論を言ってしまうと、僕は現段階の人類の意思疎通の在り方に未熟という言葉だけでは捉えきれないような、ともすれば、世界の苦しみの根源でもありえるような、その無垢な不十分性からの離脱を、飛翔を、進化への希求を思うのだ。科学の力、善くも悪くも、その力が僕に感じさせる高揚感は疑いようもない、ただ今の科学に足りないのは誰もが感じる命の精神性だ。僕は寝ても醒めてもこの精神性と科学の融合を夢見る。

「正直であることより勇気があることがあるなら僕はそれを生きてみたい。」
それは僕が弱さを恐れるからじゃない。恐れるような対象になる前に既に僕は弱さでできているからだ。こんなことを成人した後の人間が告白するのは少し可笑しいかもしれないっていうのは重々承知している。ただ、今僕が追い求めているのは見かけや体裁や風のように過ぎ去ってしまう醜聞に惑わされるような生半可に我をもった人間性ではなくて……
そう例えば魂の芯のように水のように柔軟で屈強な精神性であるということ。これは人がどんな人生を歩んでいたとしても一度は考えるであろう自分自身の命についての判断に関しての物語で…つまり僕が語るところは僕の物語になるのだけど、これは君の物語でもあるということを知っていてほしい。なぜならここまで読んでいるってことは君は僕についてのことを、僕について僕が思う中心点を知っていることになるのだからね。「正直であることより勇気があること」、僕がそう考えるのは、僕がそれこそがいわゆるヒーローとして語られる存在に足りないものだと思うからだ。こう考えるような人間は人生において何もなすことがないのではないかという思いが僕の心をよぎったこともなんどかある、けれどそれ以上に僕はこの事実は、つまり「正直であろうとすることは勇気あることと必ずしも共存しない」という事実に帰結するのではないかと思うんだ。
ところで君は今の僕の目標を知っているね。そう《自生》だ。例えば宇宙のように。例えばグラスの中の水泡のように。散っていく花弁の色が褪せ逝くように。
僕らが自由に生きることは尊いことだと君は言っていたね。けれど君は本当の自由を知らないで大気へと去って行った。



散文(批評随筆小説等) ⋆文集*-ノコラズセカヰの子守唄(ララバヒ)-〈構成中・・・〉 Copyright 大゜揮∞ ₎ぴろき∞₍ 2021-08-08 09:19:21
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