一つの詩をたずさえて
ひだかたけし

一つの生をたずさえて
一つの死をたずさえて
赤ん坊から老人マデ
寄り道しながら
僕は行く

 今は何もせずぼうとして
 うねる夏の光を夢見ながら
 美しく深まっていく世界を信じ

一つの生をたずさえて
一つの死をたずさえて
赤ん坊から老人マデ
寄り道しながら
僕は行く

 あゝまた風が吹いている
 灰白色の空の彼方から
 次から次に吹いて来る
 あの大きな風、透明な風に
 私は生かされていくのだろう
 私は奪われていくのだろう
 私は晒されていくのだろう

一つの生をたずさえて
一つの詩をたずさえて


自由詩 一つの詩をたずさえて Copyright ひだかたけし 2021-07-13 21:06:17
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