入間しゅか

生き生きと膨張する季節だ
成長の早さに耐えきれず
ひび割れた大地の
隙間を縫うように
溢れ出た無数の命が
すっかり地上を
我が物顔で跋扈していた
それでも空はやっぱり遠いらしく
鳥が仕切りに鳴いている

だからこそ
怒ったり
泣いたり
笑ったり
しながら
日に日に
遠ざかる
夕焼けの
向こう側

向こう側では
地上を謳歌した魂が
羽ばたいて見えて
瞬いて消えて
物語は常に佳境を迎えていた

そんな夕焼け空のした
サイダーは飲んだら
打ち水ように
喉元で弾けて
心身に
しんみりと
澄み渡っていった


自由詩Copyright 入間しゅか 2021-07-02 12:19:18
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