来いロシナンテ
TAT

例えばフィンセント・ファン・ゴッホが
生前に一枚の絵も売れなかったように
カフカのように

俺の才能は凄すぎて
現世に生きる二流三流どもには
上手く把握しきれないだけだ

ゴッホの時代にも
絵がよく売れる
金持ちの職業画家は五万といて
けれどもそんな雑魚達の名は
今はもうどこにも遺ってはいない

今ではジュンク堂や紀伊国屋で
取扱いされているのは
ゴッホの画集だけだ

だから結局は自分の魂と
自分との戦いだけしかないんだよ


そりゃあ
シニカルぶって
自分が死んだ後の名声なんか
自分には関係ないから
現世を楽に生きれる
金を稼げた方が
単純に良いに
決まってるじゃないか




高価いポロシャツ着て
嘯くのも正解は正解だが










それじゃあ
サバンナのライオンと同じさ

人間じゃない





人間てもっとこう
ウイスキーみたいに
澱とか色々入り交じって
石油みたいに深いもんだろ?

























そうやって自分を慰めるしか
もう道はないんだ
最期の麻薬なんだよ

けれどもそのようにしてでも
どんなに滑稽で愚かしくとも
それでも死なずに

石を噛んででも

石に口をすすぎ
流れに枕して

ドン・キホーテのように

生きるんだ俺は






















自由詩 来いロシナンテ Copyright TAT 2021-05-24 15:32:43
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