オリンピア
紀ノ川つかさ

我が息子スカンダよ
今によみがえるオリンピアの地を
駆けるがよい
かつてかの地では
聖なる競技会が行われていた
すべての競技は神々を讃えるため
そして神々に捧げるため
人々はそのために走った
お前もそのような場所で
走ることを望むだろう

その競技会の形だけは残り
今も四年に一度開かれている
しかしそれはもう聖なる催しではなく
競技会を取り巻く連中が
ひたすら金銭を追い求めるだけのもの
より多くの利益を得ようと莫大な投資をして
途中で止めようものなら多大な損失
だから何があってもあとに引けないもの
たとえ伝染病が世界を覆っても
開催されるものなのだ

愛する息子スカンダよ
お前が走るべきなのは
神々も存在せず金銭にまみれた
あの汚された競技会ではない
かつてのオリンピアでのように
神々が美しくある中を
お前は走るべきなのだ
我々もまた神の仲間であり
神の誇りがあるのだから

新しいオリンピアへ
お前を送るために
今世界を覆う伝染病に
さらに三つの目を開かせよう
その名は E484K L452 V382L である
欲深い世界は滅びるであろう
再び神への畏れと憧れが
人々を美しくする世界が戻るであろう
その時オリンピアもよみがえり
お前はその地を走るのだ
力強く!
力強く!


自由詩 オリンピア Copyright 紀ノ川つかさ 2021-04-27 21:51:00
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