夢のファンキートレイン
紀ノ川つかさ

見ろよとうとう列車がやってきた
あれは取り残された者だけが
最後に乗り込める列車なんだ

何も請け負ったつもりはないが
この国に生まれたからには責任をとれと
指を突きつけてくる連中がいる

何も賛同したつもりはないが
こんな国を壊すためには共に戦えと
人を殺す道具を持たせようとする連中がいる

そいつらから逃げ回っていたら
もう自分の周りには
誰もいなくなってしまったんだ

しかし見ろよとうとう列車がやってくる
楽しく生きたい者だけを
拾って走る最後の列車なんだ

趣味の悪い電飾と
脳天気な音楽をまき散らし
列車はひたすら屍の横たわる荒野を
走っていくのさ

その行き着く先は地獄かもしれないが
かまうもんかその時まで
共に揺られて楽しく生きよう

悲しいことしか言えないヤツは
黙って列車を降りていけ

夢のファンキートレイン
たまたま乗り込んだ誰かが
本当の行き先を見つける手段を
知っているかもしれない

夢のファンキートレイン
たまたま乗り込んだ誰かが
地獄を天国に変える魔法を
かけてくれるかもしれない

夢のファンキートレイン
たまたま乗り込んだ誰かが
この世を忘れるほど愉快な話を
してくれるかもしれない

夢のファンキートレイン
たまたま乗り込んだ誰かと
恋に落ちて一晩中
踊り狂っているかもしれない

見ろよ列車がやってきた
あれは取り残された者だけが
最後に乗り込める列車なんだ


自由詩 夢のファンキートレイン Copyright 紀ノ川つかさ 2021-02-06 23:06:10縦
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