運命
入間しゅか

食パンくわえてダッシュして、遅刻遅刻〜、曲がり角でドーン、ぶつかったわけだけど、この曲がり角ってのが厄介でね、本当はかくれんぼしてたはずだったんだから、それがどうしたわけか、曲がり角に差し掛かったところで、シルエットだけでドギマギしちゃって、それでね、それでね、曲がり角でドーン、いってぇ、気をつけろよ!って言いたげな視線で見てくるから、私もカッチーンときて、何よ、あんたがぼーっとしてるからでしょって顔して睨んでやると、しばらく二人は見つめ合い、曲がり角についてのあらゆる検証を開始したのだった、なぜ曲がり角があったのか、曲がり角で二人がぶつかるためには月の引力が必要か、太陽はどちらに位置していたか、そしたら、みーつけたって声がして、振り返るとかくれんぼの鬼が立ってたわけ、こっちはカッチーンしてるからもう、かくれんぼのことなんか忘れてて、いってぇの彼のシルエットだけがハッキリ見えて、最悪って気がつくと口から言葉が零れていたが、時すでに遅し、かくれんぼの鬼がさあ、次はあなたが鬼だからね!と今にも言いそうな素振りをみせていた、ただ、眠りたい、それだけのこと、誰にも見つからないようにしてきたのに、曲がり角でまた会えたらいいなって笑ってみる、遅刻確定だから、明日学校に行く、今度は私が見つける番、みんな一目散に逃げていく、曲がり角で十数える、もーいーかい?私は、まーだだよを待っている、そう、これは運命。


自由詩 運命 Copyright 入間しゅか 2021-04-21 17:29:51
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