丘の上のじぶん
atsuchan69

痛みのある坂道を、
転校を繰り返しながら
遥か下を見下ろして
どうにか登ってきたつもりなのだが
もしかすると、
本当は転がり続けているのかも知れない
高校も一度、退学になったし
大学も三年の春にやめた
仮初めの住まいは、
いつも痛みのある町の近くだった
妻の出自はよく知らない
自分自身の出自も
たぶん似たようなものだ
有名企業に中途で入社した
痛みとは深い関係になり
それ以上につらい思い出をのこした
痛みから逃れるために
大勢の人へ痛みを拡散した
フェイスブックで目にした部下が
じぶんのことを書いていた
じぶんのことで苦痛を感じるそうだ
もっと苦しめばよい
それが嫌なら、
この坂道をいっきに駆け上がれ
そして遥か下を見下ろして
情けなく、ふうっと溜息をつけばよい


自由詩 丘の上のじぶん Copyright atsuchan69 2021-04-16 15:31:00
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