無温の波音
あらい

低空飛行で鈍足を抜かす
迷路を生んで
狭き未知に導かれる
無くした鍵が又
私を窓から出さない風だ
囁きを逃す舞と
夢だった 昨日増やしたちゃばしらが、
今だった 烏に啄まれ、
燻るは一縷の光に取って食われた。
水槽の恋、
一日の朝が表れる
もう過ぎた紫雲に続くように鼻を聴かせて魅せよう
私たちは足を揃えて降っていく朝靄の影を延ばして
なんだって、かんたんな道、ですから
落ちて、
堕ちて。
踏ん張りの利かない地上花を
逆せて地を這わす
間際に魅せた凡てのいろは
なにものも標すばかりの、
好い加減な 塩梅かしら
いつまでもずっと変わらずの春を、
愛するがひとでしか、
出会えない蜃気楼。
見せかけの心を移す手鑑 歪な階段を
転げ散る、皆も姿絵


自由詩 無温の波音 Copyright あらい 2021-04-03 16:51:05
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