人鳥は濡れない足~台詞付~
アラガイs


遅れて歩いてくる足音につい気後れがして
       わたしは膝をついたまま下向きに歩いて行く
    自転には追いつけない針を進める (
) 氷の幕を滑り落ちる   人鳥
乾いた靴の底を舐めるように這いつくばってきた蔵人
 手にした強い武器を輝かせ、黄土を行く人々よ
あなた方にはひれ伏せて進もう
   、、わたしには何ひとつ価値あるモノはない

 「あのう、これはもう少し高く値をつけてもらいたいのですが、これじゃ一晩の飯代にもならない。?ん、ああそうですか、なら、要りませんよ。今どきこんなモノ欲しがる人はいませんからね。この値段なら引き取らせていただきます。いいですかあなた、引き取らせていただくんですよ。わたしらは。売ろうが売るまいがどっちでもいいのです。この価格ならば買って損してもいいという、リスクの値札になるのです。この値段でお譲りなさいな。これ以上なら買うことはできません」。

         極地の朝、読めない春に叫び
憤る波に浚われぬようにと円陣を囲う、我が子を守る雄たちの群れに、冬の嵐に陽が射す羽根の背、飢えが眼を覚まし餌を狩る雌親の、ペタペタと揺れる遠いあしもと  急ぎ足が聞こえる ペンギンたちの俯き

木枯らしが吹き付ける夜には厚底の靴を履き、薄い三日月の口もとを自転車でさまよう街  影に怯えたのは背中
   薄情な道だ、と一人嘆いてみても、今さら誰も振り向いてはくれない満月の夜を
、喩えては後悔して眺めている  わたしは
                     裸足では歩けないよ  素足でも歩けるの、夏の砂浜
寒い冬には靴下を厚く足先の凍えが温もるまで待てばいい  譲るなよ足もとを
                          そう気がついてからではもう遅い  人の足跡 。








自由詩 人鳥は濡れない足~台詞付~ Copyright アラガイs 2021-04-03 01:28:03
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